君がいればそれだけで。
剣の腕があっても人との関係が上手く行かなければ厄介者だ。
深呼吸して覚悟を決めた俺たちは斬りかかろうと一歩踏み出した時だった。大きな影が頭の上を通りすぎて目の前に舞い降りてくる。
影の正体は王女だった。身を隠してもらうためにシオラに任せたのになぜ来てしまったんだ。すぐに前へ出て守ろうとしたが、手を広げられ止められる。一体何を考えているんだ。

「懲りない人たちね」

「王女様!こちらは危険です!」

「ジーニア!出ていらっしゃいな」

王女の登場に今までにないほど罵声を浴びせる人々の声に耳を塞いでしまいたくなった。ラズハルドの言葉も無視し、女中を呼んでいるけれど何の用だ。
< 259 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop