君がいればそれだけで。
王女がいるなら放っておく事は無いだろうけれど、俺たちは何もしなくて良いのか。また何も出来ないのか。

「きっとある。焦ったら何も見えないぞ?」

「それはそうなんだけどさー。焦るよなー」

「まーな」

自室へ帰る途中、ラズハルドと焦らずにいられないと話してしまっていた。焦った所で何もない。それは今日一日で痛いほど分かったというのに、皆の余裕を目の当たりにして焦らずにはいられなくなっていた。
俺たちは知りたくて仕方無いのに人々は伝えたくなってからで良いと笑っている。俺たちだけが置いていかれている気がしてならないんだ。
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