君がいればそれだけで。
まだ王女の所に来て数日しか経っていないが、自分が犯した罪を取り消したいなどと言うような人ではない。寧ろ、まだ軽いと嘆くだろう。じゃあなぜ取り消したがっている。長年生きてきた気の迷いか。気の迷いで取り消そうとするような人なのか。

「無理強いはしない。休暇だと思ってゆっくりして行って?」

「なぜあなたのような人が俺を?」

何ででしょうと問い掛けるかのように笑い、去っていった王女の笑顔が暫くの間脳裏に残っていた。わざと困らせるような事を言っているのか。わざと自分が依頼したのだとおちょくったのか。
王女独特な冗談か何かなのか。でも、打ち明けてくれた時は本気で悩んでいる表情だった。全く、誰の言葉が本当なんだ。何がどうなっている。
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