君がいればそれだけで。
苛立ちを隠せない俺と誰が呼んだのか頭を悩ませるパルさん。苛立ちが静まるまで会話は一言もなかった。

「すまん、取り乱して」

「気にするな。仕事に誇りを持っているからこその事だろう?」

「ありがとう。・・・心当たりは無いのか?」

心当たりを訊いても首を横に振るだけだった。じゃあ、一体誰が王女を殺せなんて言ったんだ。
今の状況で一番怪しいのは俺の国の王だが、自分を暗殺しろと命じた者を王女が庇うのも何か違う気がする。かと言って他に思い付く者なんていない。俺の知らない、パルさんと王女が知っている誰かなのかもしれない。
< 36 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop