君がいればそれだけで。
俺がこんなにも依頼者に執着するのには理由があった。汚い話かもしれないが、金だ。他の人が立て替えるなんて事は認めない。相手の命、人生を奪えと言っているのだから相手の残りの人生を金で買え。それが俺への依頼料となる。だから赤子の方が高額になるし、老い先短い者に安楽死を求められれば低額になる。
老人には命が短い分、知恵がある。赤子は知恵がない分、未来がある。命の重さは変わらないが、高齢になればなるほど自らの意思で頼んでくる者が多くなる。だから、あまり高額にして負担を掛けたくないというのが本音だ。
もし、王女を殺す依頼が偽装ではないのなら結構な額になるだろう。永遠の命を得ているのだ。俺が死ぬまでに使う金を全て免除してくれたとしても足りないだろう。だからこそ、依頼者を見付けて取り消させたいんだ。本当に払えるのか、払える額なのかと。殺してから払えませんは受け付けていないんだが。
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