君がいればそれだけで。
俺の場合、半分は前払いでもう半分は成し遂げた報告の時に払ってもらうようにしている。今回も数年は派手に遊んで暮らせるくらいの額を獣の国王から頂いている。なのに依頼者が違うだと。

「自分の殺したい相手の人生くらい、自分で買って奪えってんだ」

「お前の腕は聞いている。出来るなら依頼は破棄の方向に持っていきたいというのが俺の本音だ。だから、探すなら手伝うぞ？」

依頼の破棄か。どちらでも良いな。パルさんが言っているのはたぶん、俺の別名の話だろう。依頼を確実にこなす事から獲物を逃がさない悪魔と呼ばれている。
全世界でも一を争うほどの腕だと獣の国王は言っていた。王女もきっと、腕を見込んで依頼したと言ってきたのだろう。でも、正直に言えば王女を殺したくない。
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