君がいればそれだけで。
いや、今の王女を殺したくないと言うべきか。この世の幸せなんて何も知らず、誰かと心から笑い合いもしない状態で亡くなってほしくない。幸せを知らない相手を殺すのがどれだけ辛いか、誰も分かりはしないだろう。

「協力は頼むだろうが、お前がいなければ誰が王女を守るんだ。ラズハルドもリズレイドもヒューも俺のように兵士じゃないかもしれないんだぞ」

「いや、ラズハルドとリズレイドは本物の兵士だ。鬼の国がお前を雇った事に気付いて送ってきたらしい。鬼はいるだけでも結構な護身になるそうだからな」

鬼の国は獣の国が俺を雇った事を知っていたのか。知っていたのなら獣の国王に直接抗議すれば良いのにそこまで近しくないのか。それとも、依頼人を知っていて手を出せないのか。
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