君がいればそれだけで。
何も可哀想だと思われる事なんてなかったんだ。なのに僕は保護され、医師として育てられた。国王が贔屓にしてくれるほど腕も上げた。でも、それは国のためじゃない。あの父子のように怪我や病気の治りが遅くて故意に殺されてしまう人、看病して巻き込まれた家族を無くすためだ。

「食欲無いのか?」

「ううん、美味しくてね」

「ヒューは美味しいと固まるのか!」

ベクウの笑顔に少し元気を貰えた。花壇から食堂に移って食事をしていたのだが、和気あいあいとした食事をしていると今でも思い出してしまうんだ。あの父子と五人で過ごした日々はいつも以上に楽しかったと。
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