君がいればそれだけで。
専門知識なんてないと言っても信じてくれるかな。パルさん、勘が働くからな。信じてはもらえないだろうな。どうして兵士として行かなければいけなかったのか、ちゃんと国王に聞いておくんだった。

「応急処置くらいしか知らないけどそれでも良いなら手伝うよ」

「助かる。旅の途中で襲われたらしいんだ」

うわぁ、ちゃんと治療してあげたい。襲われたって事は結構深手を負っているんだろうな。嫌だなぁ、見殺しにするような形になってるよね。誰なのかは知らないけれど、傷が浅い事を願おう。
城の処置室に向かうと案の定、深手を負った旅人が横たわっていた。一人だけで旅をしていたのかな。種族は鬼か。でも、鬼とも少し違うな。流れている血の感じ、このさらさらした血液は鬼と人間の子かな。
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