君がいればそれだけで。
「うーん、正確にはシオラの父の亡骸を埋めたから覚えていたという感じですかね」

「じゃああのお墓は王女様が建ててくれたのですか!?」

驚くヒューに言ってなかったっけと困ったように笑って返す王女。そうか、あの町外れに建てられた父の墓は異種族の私でも参れるように配慮された物だったのか。そうだよな。普通なら異種族の墓なんて作りたがらないもんな。
私は深々と頭を下げて感謝した。父が安らかに眠れているのは王女のおかげだと今の今まで知らなかった自分を恥じた。旅をしている時は誰も助けてくれなくて、その日生きるのもやっとで。
陰で支えられているなんて考えもしなかった。ヒューにもう一度会えたら命を絶とうと思うくらい、生きる意味が分からなかった。でも、王女は生きる意味を教えるために国を作ったんだよな。
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