君がいればそれだけで。
出来るだけ、生き物を殺したくはない。でも、町の人々の命を奪った事への怒りは抑えられない。だから早く視界から消えて。王女の言葉はたまに、命を大切にしているのか国民を大切にしているのか分からなくなる。
国民の恨みを晴らすならそのまま侵入者を斬れば良い。なのに、侵入者を殺さないように怒りを堪えている。

「ごめんなさい、後はお願いするわ」

「かしこまりました」

私とヒューは町の人々の手当てをし、パルさんたちは亡くなった人々の墓を作っていた。本当は王女が自分の手で作ってあげたかったんだろうな。でも、後の事を考えると自分が作るわけにもいかないのだろう。自分が建てて、家族が寄り付かなくなっては亡くなった人が可哀想だから。
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