君がいればそれだけで。
私の言葉に俯く者ばかりだった。でも、現実を思い出しただけで状況は変わっていないんだろうな。数日後にはまた王女の悪口が飛び交っているのだろう。大きな力を持っている者が自分たちの味方でいてくれているから気持ちが大きくなりすぎているんじゃないのか。気持ちが大きい分、心が狭くなっているのでは。
人の心の話だから嫌うなとは言わないが、感謝くらいしても良いんじゃないのか。これじゃあ何のために人々を助けているのか分からないじゃないか。

「パルさん、終わったよ」

「ん、そうか。少し待ってくれ」

墓を建てる前に王女から貰っていた巾着を取り出すと、中から星のような粉を取って山のように盛っていた。何をしているのか分からないけれど話し掛けてはいけないような雰囲気だったため、何も言えずに待っていた。
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