君がいればそれだけで。
諦めているような言い方しないでくれよ。少なくとも私は恩を感じている。あなたを愛している。これからもっと愛していくだろう。なのに、愛してもらおうと思っていないって言い方するなよ。私の恩を返したいという努力は、気持ちはどうなってしまうんだ。

「私の事も愛してください、王女様。私を、愛して」

「愛していますとも。シオラの事も、皆の事も」

泣きながら抱き締めた王女はとても暖かくて逞しかった。体は華奢で細いのに、なぜか安心できてこの人なら頼れると本気で思ってしまったんだ。そして、私は魔力を掛けられたようにそのまま眠ってしまった。幸い、城に戻ってきた後の出来事だったから良かったものの昨日の寝不足が祟ったのかもしれない。
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