君がいればそれだけで。
ラズハルドを盾にしてパルさんと距離を取ってはいるものの、まだ怒りが収まりそうにない。隙をついて後ろにあった扉の奥に入ったけれど、鞘で壁を壊して入ってくる始末。その部屋の中にいたヒューとシオラも驚いていた。

「往生際が悪いぞ、リズレイド」

「本当に俺じゃないんだってば!」

「パルさん!本当に落ち着いて!」

等々、鞘から剣を抜いたパルさん。さすがに危機だと感じてくれたのか、混乱している俺を庇うようにラズハルドが立って止めてくれていた。
俺がパルさんに気付かれないように落書きなんて出来るわけないのに。少し考えてくれれば分かるはずなのに。なのに、何で今日はそんなに怒っているんだ。
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