君がいればそれだけで。
入る前よりも怖い表情をしている。何でこんな事になってんだと本気で死を覚悟した時、救世主が俺を包み込んだ。眠っていたはずの王女だ。王女は片方の腕で俺を包み、もう片方の腕で剣を止めた。そして、刃の部分だけ粉々に砕くとパルさんの怒りを取り払ったんだ。

「落ち着きなさい、パル。今回はあなたの勘違いだよ」

「勘違い・・・ですか・・・?」

「体を拭く布を忘れちゃって、脱衣場に置くようリズレイドに頼んだの。あなたが思っているような事実は何も無いの」

安心したように肩を撫で下ろしたパルさんはそのままため息と共に座り込んでしまった。どうやら、俺が一緒に風呂に入った的な事と勘違いしていたらしい。
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