君がいればそれだけで。
「ありがとう、怒ってくれて」

「でも!」

「リズレイド。あなたみたいに泣いてくれる人がいる。私にとって、誰かに恨まれるよりそっちの方が重要なの」

王女は掴んだ手を撫でながら笑ってくれた。ただ優しく、凄く優しい温もりですっと涙が出てきた。
シオラやパルさんに言っていた、自分の人生は自分で選べ。その言葉の裏には王女の抱えきれないほどの後悔や悲しみがある。でも、その言葉を使う時は相手への愛が溢れている。
俺からしたら何でもない、当たり前のような言葉になるだろう。自分の人生なんだから自分で決めるのは当たり前だと思っていた。でも、決められない人もいる。決めても崩される人がいる。だから王女は何度でも言うんだ。寿命のある命を大切にしてほしいと。
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