君 色。 <短>
「ゴメン……」
ねぇ。
それは、どんな意味の“ゴメン”なの?
「ケイちゃんが何も言わなかったせいで、私は……私はまだ止まったままだよ。進めないままだよ」
あの日、いつもと同じ笑顔で、私達は別れた。
まるで、また明日もあるかのように。
ケイちゃんは、待っててほしいとも言わなかった。
だけど、別れを告げることもしなかった。
――ズルイ奴。
「南……」
「ケイちゃん…私ね、ケイちゃんと別れた時、泣かなかったんだよ」
「……うん」
「なんでだと思う?」
「……」
ケイちゃんは何も答えなかった。
それはね――
最後に私と居たケイちゃんの心の中には、確かに私がいたから――
他の誰でもなく……私だけが。
ケイちゃんは私のものだって、わかってたから。
自惚れとかじゃなくて、絶対……
絶対、私しか存在しなかった――
だから……
どれだけ経ったって、ケイちゃんの1番は私だって……
勝手だけど、そう思っちゃってたの。
なんでだろうね。
ケイちゃんの気持ちが離れていくのを、
私は、この目で、この体で……傍で感じてないから。
ずっと実感がないままだった。
笑ってたよ。
君が居なくなった次の日も、その次の日も……