美枝子とゆうすけ~かあさんに恋したら
その1
「えっー、お見合い!?」
アタシは、すっとんきょうな声をあげていた。
ママが、親同士のコンカツイベントで7人のお相手の情報をもらって来たが、アタシは7人のお相手の中から、誰を選べばいいのか分かなかった。
…て言うか、アタシはお見合いをする気なんか最初からなかった。
だけど、ママはつらそうな声でアタシに言うた。
「まどか、あんたはいつまでひとり身を続けて行くのよぉ!?」
「だから、アタシはキャリアがあるから、結婚しなくても生きて行くすべはあるわよ!!」
アタシは、怒って2階に行った。
ママは、困ったわねと言う顔をしていた。
アタシはまどか・36歳
ママの名前は美枝子・63歳
アタシがちっちゃいときに、ママとパパが離婚したので、アタシはママと一緒に暮らしていた。
ママは、アタシに結婚してほしいと何度も繰り返して言うてたけど、アタシは結婚とか恋とかには無頓着だから、今から結婚を考えるなんて無理なことであった。
ところ変わって…
アタシの家の近所にある2世帯半住宅にて…
家は、ママがアタシのお見合い相手に指名したゆうすけさん(30歳)の家であった。
ゆうすけさんの家族は、両親と兄夫婦と兄夫婦の子供二人と、独身のお姉さん(ちさとさん・31歳)の8人家族である。
ゆうすけさんのお兄さん夫婦は、社内恋愛で知り合って結婚をして、子供は一姫二太郎である。
家は、ゆうすけさんの結婚の問題もあったけど、お姉さんのちさとさんのお見合いの問題が最も深刻であった。
時は、家族そろって朝ごはんを食べていた時であった。
食卓での話は、いつも決まってちさとさんのお見合いのことであった。
ゆうすけさんのお父さまは、口やかましくちさとさんに言うていた。
「ちさと!!お前いつになったら結婚するのだ!?」
「いつになったらって…アタシだって、美容師の仕事が忙しいのにコンカツをしているひまなんかないわよ!!」
「そうは言ってもだな…」
「お父さん。」
「分かっているよ!!」
「だから、お見合いって誰のためにするのよ!?」
ちさとさんの言葉に対して、ゆうすけさんのお母さまは『ちさとが幸せになるためにお見合いをするのでしょ。』と言い返した。
「アタシのため?」
「そうでしょ…じゃあ、他に何があるのよ!?」
「おカネとか、就職の世話のお礼とか…」
「とにかく、お父さんが待っているのよ…ちさとの花嫁衣装の姿がはやく見たいって…」
「アタシの花嫁衣装が見たいからって…どういう意味なのかしら?」
「どういう意味って…お父さんの夢だから…」
お母さまの言葉に対して、ちさとさんは『アホみたいだわ。』と言うてからこう言い返した。
「アホみたいだわ…それじゃあ、アタシの結婚はお父さんのためと言うことじゃないのよぉ!!」
「ちさと!!」
「アタシは、お父さんの自己満足のために結婚するのだったら、結婚なんかしないから!!」
ちさとさんは『ごちそうさまでした!!』と怒りながら言うた後、席を離れて出勤の支度をして出かけた。
ちさとさんは、戸をバーンと閉めて出かけて行った。
ゆうすけさんの兄嫁は、両親にこう言うた。
「義父(おとう)さま、ちさとさんにあんまりうるさく言わないで下さい!!アタシ、ウンザリしているのよ!!」
兄嫁は、ちさとさんの食べ終えた後の食器の後片付けをしていた。
「そりゃ、朝からこんな大声で怒鳴りたくないよ!!だけど、ちさとの事を思えば父親としては心苦しいのだよ。」
ゆうすけさんのお父さまの言葉に対して、お母さまはこう言うた。
「それはそうだけど、ゆうすけの方はどうするのよ?」
「ゆうすけのことか…ゆうすけはまだ早いよ!!10年は早い!!」
「お父さんはそのように言うけれど、アタシたちがいなくなったらどうするのよ!?ゆうすけだって、そのうちお嫁さんが必要な時期が来るのよ!!お父さんがこまかいところでケチつけてばかりいたら、ゆうすけだっていやになるわよ!!」
両親のケンカがひどくなったので、スーツ姿のゆうすけさんは両親に『行ってくる。』と言うたあと、カバンを持って、出勤をした。
ゆうすけさんは、今治市内にある印刷会社の営業の仕事をしていた。
ゆうすけさんは、決算書を課長のデスクに持って行って、承認のハンコをもらっていた。
「ご苦労さま。部長のところに持って行って下さい。」
「かしこまりました。」
ゆうすけさんは、部長のデスクに決算書を持って行った。
「ありがとう。」
部長さんは、書類を受けとったあと、ゆうすけさんにこう言うた。
「ゆうすけさん。」
「はい。」
「ゆうすけさん、君はカノジョはいるのかな?」
「いえ、まだいません。」
「そうか…ちょうどよかったよ…ゆうすけさん、この娘はどうかなぁ?」
部長さんは、1枚のスナップ写真を見せた。
スナップ写真は、アタシがママと一緒に日光の東照宮へバス旅行に行った時のスナップ写真で、白のワンピースを着てにっこりほほえんでいるアタシとママの写真です。
「この娘さんは?」
「私の知り合いのひとり娘さんのまどかさんだよ。ゆうすけさんところの近所に住んでいる娘さんだよ。」
ゆうすけさんは、アタシのスナップ写真を見てこう言うた。
「いいですね…ぜひお会いしたいです。」
ママとアタシの家族写真を見たゆうすけさんは『お見合いをお受けいたします。セッティングをお願いいたします。』と部長さんに返事をした。
「よかった。じゃあ、次の日曜日に、いまこく(今治国際ホテル)のカフェテリアでお見合いと言うのはどうかな?」
この時、お見合いの日時は決まったけど、アタシはお見合いをする気がないことには変わりはなかった。
そして、なあなあな気持ちを抱えたままお見合いの日をむかえた。
ところ変わって、いまこく(今治国際ホテル)の1階のエントランスにあるカフェテリアにて…
ママはクリーム色のワンピース姿で、アタシはラフな服装でお見合いに出た。
ゆうすけさんは、ダークブラックのきちんとしたスーツを着て、黒の高級なくつをはいてビシッと整えた姿であった。
アタシがお見合いの顔合わせの席にカジュアルな服装で、キャミソールのストラップがチラミになっている姿を見て、ゆうすけさんの両親はおどろいていた。
ゆうすけさんの両親は、アタシの服装を見て『お見合いの席でみっともない格好をして、何を考えているのかしら…』と思っていた。
お見合い開始から30分後に、アタシは『アタシは、お見合いをする気なんかないわ!!失礼します!!』と言うて、その場から立ち去った。
「まどか!!」
ママは、困った表情でゆうすけさんの両親にあやまっていた。
「すみませんでした…娘が無礼なことをしてもうしわけありませんでした。」
ママの言葉に対して、ゆうすけさんが突拍子もないことを言うていた。
「まどかさんのお母さま。」
「はい。」
「ぼくは…ぼくは…まどかさんのお母さまのことが…好きになりました。」
エーッ…
ちょっ…
ちょっとぉ…
ゆうすけさん…
あんたは正気で言ってるのかしら…
ママは63歳よ…
ママのどういうところが好きになったと言うのよ…
「ぼくは決めました。」
ちょっ…
ちょっとぉ…
ゆうすけさん、よく考えてよ…
そんなことはおかまいなしに、ゆうすけさんはママの元へやって来た。
「はじめまして…ゆうすけです。あなたの名前は?」
「アタシは…美枝子です。」
「美枝子さんですね。」
「はい。」
ゆうすけさんは、初対面のあいさつをしたあと、ママの手のひらにキスをした。
ゆうすけさん…
何を考えているのよ…
初対面でいきなりキスをするなんて…
順序がちがうわよ…
ゆうすけさんは『すてきだ。』と目を細めて喜んだあと、さらにショーゲキ的な言葉を言うた。
「ぼくは…美枝子さんと結婚します。」
エーッ…
何でそこで結婚を決めちゃうのよ…
そしたらママも…
「ゆうすけさん…かわいい…美枝子の理想の王子さま…」
ママは、ゆうすけさんの魅力にメロメロになっていた。
ママとゆうすけさんがお見合いの席で恋人宣言をしたので、ゆうすけさんの両親がものすごく困っていた。
その夜のことであった。
ところ変わって、ゆうすけさんの家にて…
ゆうすけさんの両親と兄嫁は、ダイニングでこんな話をしていた。
「お父さん。」
「何だよ。」
ゆうすけさんのお父さまは新聞を読んでいたが、お母さまはお父さまにこう言うた。
「どうするのよ?」
「どうするって。」
「お父さん!!人が話をしている時は新聞を読む手を止めてよ!!ゆうすけの結婚相手になる美枝子さんのことよ!!お父さん、話を聞いてるのかしら!!」
「聞いてるよぅ…」
ゆうすけさんのお父さまは、読みかけの新聞をバサッとテーブルの上に置いてからお母さまにこう言うた。
「確かに、ゆうすけは美枝子さんのことを好きになった…問題はあるかもしれないけど、ここはひとつ、ゆうすけを信じてやれよ。」
ゆうすけさんのお母さまは『信じろと言われてもぉ…』と言うてから、声をにごしてこう言うた。
「美枝子さんには大きな子供さんがいるのよ…それに、お孫さんがいるかもしれないわよ…ゆうすけはそのことがゼンゼン分かっていないのよ!!」
ゆうすけさんのお母さまがあまりにもうるさく言うので、お父さまは『あー、うるさいのだよ!!』と怒鳴ってしまった。
「美枝子さんはダンナと離婚して期間も長いのだよ…子供が大きいと言うても立派な大人じゃない…ゆうすけが美枝子さんのことが好きならば、ゆうすけをどうして信じようとしないのだ!?心配するのなら、ちさとの結婚問題の方を心配しろ!!」
ゆうすけさんのお父さまは、怒って席を立ったあとその場から立ち去った。
「何よ…あの態度は。」
ゆうすけさんのお母さまは、ものすごく怒っていた。
「義母(おかあ)さま。」
ゆうすけさんの兄嫁が、母親に声をかけていた。
「信じてあげましょうよ…ゆうすけさんの結婚はゆうすけさんに任せておきましょう。」
「それはそうだけど…」
ゆうすけさんのお母さまは、ふうーとため息をついていた。
アタシは、すっとんきょうな声をあげていた。
ママが、親同士のコンカツイベントで7人のお相手の情報をもらって来たが、アタシは7人のお相手の中から、誰を選べばいいのか分かなかった。
…て言うか、アタシはお見合いをする気なんか最初からなかった。
だけど、ママはつらそうな声でアタシに言うた。
「まどか、あんたはいつまでひとり身を続けて行くのよぉ!?」
「だから、アタシはキャリアがあるから、結婚しなくても生きて行くすべはあるわよ!!」
アタシは、怒って2階に行った。
ママは、困ったわねと言う顔をしていた。
アタシはまどか・36歳
ママの名前は美枝子・63歳
アタシがちっちゃいときに、ママとパパが離婚したので、アタシはママと一緒に暮らしていた。
ママは、アタシに結婚してほしいと何度も繰り返して言うてたけど、アタシは結婚とか恋とかには無頓着だから、今から結婚を考えるなんて無理なことであった。
ところ変わって…
アタシの家の近所にある2世帯半住宅にて…
家は、ママがアタシのお見合い相手に指名したゆうすけさん(30歳)の家であった。
ゆうすけさんの家族は、両親と兄夫婦と兄夫婦の子供二人と、独身のお姉さん(ちさとさん・31歳)の8人家族である。
ゆうすけさんのお兄さん夫婦は、社内恋愛で知り合って結婚をして、子供は一姫二太郎である。
家は、ゆうすけさんの結婚の問題もあったけど、お姉さんのちさとさんのお見合いの問題が最も深刻であった。
時は、家族そろって朝ごはんを食べていた時であった。
食卓での話は、いつも決まってちさとさんのお見合いのことであった。
ゆうすけさんのお父さまは、口やかましくちさとさんに言うていた。
「ちさと!!お前いつになったら結婚するのだ!?」
「いつになったらって…アタシだって、美容師の仕事が忙しいのにコンカツをしているひまなんかないわよ!!」
「そうは言ってもだな…」
「お父さん。」
「分かっているよ!!」
「だから、お見合いって誰のためにするのよ!?」
ちさとさんの言葉に対して、ゆうすけさんのお母さまは『ちさとが幸せになるためにお見合いをするのでしょ。』と言い返した。
「アタシのため?」
「そうでしょ…じゃあ、他に何があるのよ!?」
「おカネとか、就職の世話のお礼とか…」
「とにかく、お父さんが待っているのよ…ちさとの花嫁衣装の姿がはやく見たいって…」
「アタシの花嫁衣装が見たいからって…どういう意味なのかしら?」
「どういう意味って…お父さんの夢だから…」
お母さまの言葉に対して、ちさとさんは『アホみたいだわ。』と言うてからこう言い返した。
「アホみたいだわ…それじゃあ、アタシの結婚はお父さんのためと言うことじゃないのよぉ!!」
「ちさと!!」
「アタシは、お父さんの自己満足のために結婚するのだったら、結婚なんかしないから!!」
ちさとさんは『ごちそうさまでした!!』と怒りながら言うた後、席を離れて出勤の支度をして出かけた。
ちさとさんは、戸をバーンと閉めて出かけて行った。
ゆうすけさんの兄嫁は、両親にこう言うた。
「義父(おとう)さま、ちさとさんにあんまりうるさく言わないで下さい!!アタシ、ウンザリしているのよ!!」
兄嫁は、ちさとさんの食べ終えた後の食器の後片付けをしていた。
「そりゃ、朝からこんな大声で怒鳴りたくないよ!!だけど、ちさとの事を思えば父親としては心苦しいのだよ。」
ゆうすけさんのお父さまの言葉に対して、お母さまはこう言うた。
「それはそうだけど、ゆうすけの方はどうするのよ?」
「ゆうすけのことか…ゆうすけはまだ早いよ!!10年は早い!!」
「お父さんはそのように言うけれど、アタシたちがいなくなったらどうするのよ!?ゆうすけだって、そのうちお嫁さんが必要な時期が来るのよ!!お父さんがこまかいところでケチつけてばかりいたら、ゆうすけだっていやになるわよ!!」
両親のケンカがひどくなったので、スーツ姿のゆうすけさんは両親に『行ってくる。』と言うたあと、カバンを持って、出勤をした。
ゆうすけさんは、今治市内にある印刷会社の営業の仕事をしていた。
ゆうすけさんは、決算書を課長のデスクに持って行って、承認のハンコをもらっていた。
「ご苦労さま。部長のところに持って行って下さい。」
「かしこまりました。」
ゆうすけさんは、部長のデスクに決算書を持って行った。
「ありがとう。」
部長さんは、書類を受けとったあと、ゆうすけさんにこう言うた。
「ゆうすけさん。」
「はい。」
「ゆうすけさん、君はカノジョはいるのかな?」
「いえ、まだいません。」
「そうか…ちょうどよかったよ…ゆうすけさん、この娘はどうかなぁ?」
部長さんは、1枚のスナップ写真を見せた。
スナップ写真は、アタシがママと一緒に日光の東照宮へバス旅行に行った時のスナップ写真で、白のワンピースを着てにっこりほほえんでいるアタシとママの写真です。
「この娘さんは?」
「私の知り合いのひとり娘さんのまどかさんだよ。ゆうすけさんところの近所に住んでいる娘さんだよ。」
ゆうすけさんは、アタシのスナップ写真を見てこう言うた。
「いいですね…ぜひお会いしたいです。」
ママとアタシの家族写真を見たゆうすけさんは『お見合いをお受けいたします。セッティングをお願いいたします。』と部長さんに返事をした。
「よかった。じゃあ、次の日曜日に、いまこく(今治国際ホテル)のカフェテリアでお見合いと言うのはどうかな?」
この時、お見合いの日時は決まったけど、アタシはお見合いをする気がないことには変わりはなかった。
そして、なあなあな気持ちを抱えたままお見合いの日をむかえた。
ところ変わって、いまこく(今治国際ホテル)の1階のエントランスにあるカフェテリアにて…
ママはクリーム色のワンピース姿で、アタシはラフな服装でお見合いに出た。
ゆうすけさんは、ダークブラックのきちんとしたスーツを着て、黒の高級なくつをはいてビシッと整えた姿であった。
アタシがお見合いの顔合わせの席にカジュアルな服装で、キャミソールのストラップがチラミになっている姿を見て、ゆうすけさんの両親はおどろいていた。
ゆうすけさんの両親は、アタシの服装を見て『お見合いの席でみっともない格好をして、何を考えているのかしら…』と思っていた。
お見合い開始から30分後に、アタシは『アタシは、お見合いをする気なんかないわ!!失礼します!!』と言うて、その場から立ち去った。
「まどか!!」
ママは、困った表情でゆうすけさんの両親にあやまっていた。
「すみませんでした…娘が無礼なことをしてもうしわけありませんでした。」
ママの言葉に対して、ゆうすけさんが突拍子もないことを言うていた。
「まどかさんのお母さま。」
「はい。」
「ぼくは…ぼくは…まどかさんのお母さまのことが…好きになりました。」
エーッ…
ちょっ…
ちょっとぉ…
ゆうすけさん…
あんたは正気で言ってるのかしら…
ママは63歳よ…
ママのどういうところが好きになったと言うのよ…
「ぼくは決めました。」
ちょっ…
ちょっとぉ…
ゆうすけさん、よく考えてよ…
そんなことはおかまいなしに、ゆうすけさんはママの元へやって来た。
「はじめまして…ゆうすけです。あなたの名前は?」
「アタシは…美枝子です。」
「美枝子さんですね。」
「はい。」
ゆうすけさんは、初対面のあいさつをしたあと、ママの手のひらにキスをした。
ゆうすけさん…
何を考えているのよ…
初対面でいきなりキスをするなんて…
順序がちがうわよ…
ゆうすけさんは『すてきだ。』と目を細めて喜んだあと、さらにショーゲキ的な言葉を言うた。
「ぼくは…美枝子さんと結婚します。」
エーッ…
何でそこで結婚を決めちゃうのよ…
そしたらママも…
「ゆうすけさん…かわいい…美枝子の理想の王子さま…」
ママは、ゆうすけさんの魅力にメロメロになっていた。
ママとゆうすけさんがお見合いの席で恋人宣言をしたので、ゆうすけさんの両親がものすごく困っていた。
その夜のことであった。
ところ変わって、ゆうすけさんの家にて…
ゆうすけさんの両親と兄嫁は、ダイニングでこんな話をしていた。
「お父さん。」
「何だよ。」
ゆうすけさんのお父さまは新聞を読んでいたが、お母さまはお父さまにこう言うた。
「どうするのよ?」
「どうするって。」
「お父さん!!人が話をしている時は新聞を読む手を止めてよ!!ゆうすけの結婚相手になる美枝子さんのことよ!!お父さん、話を聞いてるのかしら!!」
「聞いてるよぅ…」
ゆうすけさんのお父さまは、読みかけの新聞をバサッとテーブルの上に置いてからお母さまにこう言うた。
「確かに、ゆうすけは美枝子さんのことを好きになった…問題はあるかもしれないけど、ここはひとつ、ゆうすけを信じてやれよ。」
ゆうすけさんのお母さまは『信じろと言われてもぉ…』と言うてから、声をにごしてこう言うた。
「美枝子さんには大きな子供さんがいるのよ…それに、お孫さんがいるかもしれないわよ…ゆうすけはそのことがゼンゼン分かっていないのよ!!」
ゆうすけさんのお母さまがあまりにもうるさく言うので、お父さまは『あー、うるさいのだよ!!』と怒鳴ってしまった。
「美枝子さんはダンナと離婚して期間も長いのだよ…子供が大きいと言うても立派な大人じゃない…ゆうすけが美枝子さんのことが好きならば、ゆうすけをどうして信じようとしないのだ!?心配するのなら、ちさとの結婚問題の方を心配しろ!!」
ゆうすけさんのお父さまは、怒って席を立ったあとその場から立ち去った。
「何よ…あの態度は。」
ゆうすけさんのお母さまは、ものすごく怒っていた。
「義母(おかあ)さま。」
ゆうすけさんの兄嫁が、母親に声をかけていた。
「信じてあげましょうよ…ゆうすけさんの結婚はゆうすけさんに任せておきましょう。」
「それはそうだけど…」
ゆうすけさんのお母さまは、ふうーとため息をついていた。
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