群青色の空




校門を出たところで、声をかけられた。



「斉藤さん、どうだった?」



「出来たんでしょ、あんたは」



「それ答えになってない」



「うるさいなあ!

答えることじゃないから」



こいつといるとさらにイライラしてしまう。



「昨日の数学、あの応用問題そのまま出たよな。

今日の現代文も先生の話聞いていれば余裕だろ」



ひとりでベラベラ喋り続けるのを無視して駅まで歩き続けた。



ようやく解放されると改札を抜けようとすると、定期を取り上げられた。



「何すんの!返してよ、帰るから」



「昼ごはん食べていかない?」



「家にあるからいい」



「俺、割引券持ってるんだよね。

安くて美味い、新しくオープンしたレストランの」



どうしよう、と思った。



この駅はたくさんの人が使う。



わたしが喋っているところ、それも友達の多いこいつと。



同じクラスの人に見られたら厄介だ。



考えることもせず、わたしはすぐに駅を抜け出した。




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