群青色の空




「……授業、いいの?」



鼻声で話しかけると笑われた。



「そんなこと心配しなくていいから。

寝られるうちに寝てろよ」



「……まだ眠くない」



風邪を引くと行動も反応もいちいち遅くなるから大変だ。



「……どこで降りるか分かってる?」



「次でしょ」



「……うん」



「あ、もう着く。

ほら、気を付けて」



そんなに気を遣わなくてもいいのに。



病気でもこれくらいなら平気だ。



「……鞄、持つよ」



「病人らしく大人しくしとけよ。

あ、ゼリーとか食べる?」



「……食べたいかも」



今は気持ち悪くて食べられそうにないけれど、後で食べたくなる。



外で待っていると、なぜか制服のブレザーを被せてくれた。



「寒気するだろ」



「……優しいね」



「いつも素直になればいいのに」



「……うるさいなあ」



頭が回らなくておかしい。



いつもは言わないことも、考えてもみなかったことも浮かんでくる。



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