名前を呼んで、好きって言って
「これから秋保の番ってことは……え、もしかして紅羽が話したの? うわ、もうちょっと早く来ればよかった」
「どんまい、瑠衣」
顔は見てないけど、美桜が勝ち誇ったようなをしていることはなんとなくわかった。
そして私はというと、瑠衣を堪能し、離れる。
「秋保。あれでもしゅうでもないとなると、まさかアイツか?」
やっぱり知り合いだったらしい。
しかし三人出てきたはずなのに、一人しか名前で呼ばれていない。
これはもはやすごいとしか言いようがない。
「そのまさかです」
名前が出ていないからか、意外と照れなかった。
「そうか……」
紅羽さんはなんとも言えない表情をしている。
「春木君も優しくて素敵な人ですよ?」
「だとしても……あれは少し問題児すぎるだろ」
それは何とも言えない。
「もう、また二人で話してる」
「私たちにもわかるように説明してよ」
美桜も瑠衣も不服そうだ。
言われてみれば、私と紅羽さんは春木君と翠君と柊斗さんを知っているから、細かい話を全て省略して話していた。
それは美桜も瑠衣も楽しくないはずだ。
「紅羽。秋保の好きな人が問題児ってどういうことなの?」