名前を呼んで、好きって言って
美桜は紅羽さんに迫った。
「妹を思う気持ちはわかるが、そう心配するな。翔和は少し……かなりバカなだけだ」
なぜ言い直した、とは思わなかった。
むしろ少しと説明を進めていたら、驚いただろう。
「秋保、本当にいい人なの? 秋保を傷付けたりしない? 秋保のこと、大事にしてくれる?」
「うん、大丈夫だよ」
秋保がこれだけ聞いてくるのはきっと、あの人のことがあったからだろう。
でも、絶対に大丈夫だと言い切れる自信があった。
春木君が私に飽きなければ、の話だけど。
「そういえば、秋保は最初好きな人を一途な人と言っていたな。翔和がそんな奴だっとは記憶していないが」
「たしかに、一途は言い過ぎたかもしれないです」
思わず適当に誤魔化してしまった。
春木君は初めて会ったときから私を好きだと言ってくれている、とはさすがに恥ずかしくて言えなかった。
「秋保、幸せそう」
瑠衣は私の顔をじっと見て、しみじみと言った。
「よかったね。いい人に出会えて」
私がどういう恋愛をしてきたかを一番近くで見てきたからこその言葉だろう。
急に視界が滲み、私はまた瑠衣に抱き着いた。
「瑠衣、ありがとう……」
瑠衣は笑って私の頭を撫でていた。