名前を呼んで、好きって言って
お友達
誰かと出会うことで、日常は変化していく。
京峰先生と過ごしていた静かで穏やかに流れていた時間は、春木翔和君と出会ったことで、少しずつスピードを上げていった。
先生が言っていた通り、彼といることで、自然と笑顔でいられることが増えてきた。
春木君は魔法使いなのでは、なんてバカみたいなことを思ってしまうくらい、春木君には不思議な力があるような気がする。
誰かと出会って関わることが怖くて、逃げていたのに、春木君といることは嫌ではなかった。
若干強引に速くされた時の流れも、案外嫌いじゃない。
むしろ楽しいと感じている自分がいる。
春木君と過ごす時間がもっと続けばいいのにと思うくらいだ。
まあ、本人に言えば調子に乗って教室に行こうなんて言いかねないから、誰にも秘密だけど。
「おはよ、加宮ちゃん」
保健室のドアを開けると、京峰先生がいた。
「おはようございます」
挨拶を返すと、先生は私の顔を嬉しそうに見てきた。
「あの……?」
「いや、最近の加宮ちゃん、なんだか楽しそうだなと思って」
それはつまり、顔が緩んでいるとか、そういうことなのだろうか。
私は両手で頬を抑える。