名前を呼んで、好きって言って
高校で知り合った加宮美桜には双子の妹がいるという話を偶然聞いた。
その子が通っているのは、翠たちと同じ学校だった。
もしかしたら、今のしゅうの様子が聞けるかもしれない。
そう思って妹に会ってみたいと言ったことがある。
すると、美桜は申し訳なさそうに笑って言った。
「今ちょっと気まずくなってて。私とは話してくれないんだよね」
いろいろな兄弟がいるものだと思った。
うちの場合、翠が一方的に私を嫌っているだけだが。
まあ、その理由は聞いたことがないし、聞こうとも思わないから知らないが。
そしてしゅうのことは諦めることにした。
その数か月後。
「紅羽、妹に会いたいって言ってたよね? 今日会えそうだけど、一緒に行く?」
「いいのか?」
「あ、でも、知り合いを連れてくる、みたいなこと言ってたから、二人きり?じゃないけど」
美桜の妹としゅうが知り合いの可能性は低いと思ったが、しゅうも私みたいに情報を集めていたら、一緒に来ることは考えられる。
「……時間が合えば行くよ」
いきなり会う勇気がなく、私はまた逃げてしまった。
そしてこっそり美桜の後を追い、隣の席で美桜の妹を待った。
結局、来たのは翠だった。