名前を呼んで、好きって言って

どんな仕草をするのか。
何が好きなのか。


昔と変わっていることは多くあるだろう。


今のしゅうのことを知らないのに、しゅうを好きだなんて笑ってしまう。


これは本当に、さっさとあのわがままを取り消したほうがよさそうだ。


そのとき、タイマーが鳴った。
ブラウニーが完成したらしい。


秋保がキッチンに行くと、翔和も美桜もついて行ってしまった。


リビングには私としゅうが残される。


「……秋保と、仲良くしているみたいだな」
「……あの子は、翔和の大切な子だから」


友達の大切な人は大切にする。
相変わらず優しい奴だ。


「俺は、くーと仲良くしたい」


予想外の言葉に、私は過剰反応をしてしまった。


しゅうは首を傾げている。


「俺、ちゃんとくーが言ったこと守ってる。でも、くーは俺と話してくれない。なんで?」
「それは……」


緊張するから、とは恥ずかしくて言えなかった。


「うお、人が増えてる」


どう言い訳をしようか考えていたら、瑠衣が二階から降りて来た。


「君は何さん?」


瑠衣は一番近くにいたしゅうに話しかけた。
だけど、しゅうは答えない。


いつも、こうして守って来たのか。
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