名前を呼んで、好きって言って
「で、くーちゃんってのは翠の双子の姉。紅羽っていうんだ。隣町の進学校に通ってるから、加宮ちゃんが会うことはないだろうけど、一応ね」
双子の姉で、隣町の進学校に通ってる。
それは、私の姉と一緒だ。
「……ごめん、俺たち兄弟の話なんてどうでもよかったね」
自分の姉のことを思い出して少し落ち込んでいたら、先生にそんなことを言われた。
「い、いえ、そういうことでは……ただ、私の双子の姉も、同じ学校に通ってるなと思っただけで……」
「君も双子の姉がいるの?」
私は小さく頷く。
「で、嫌いなんだ?」
たしかに今、気まずくて話せずにいるけど、嫌いだと思ったことはない。
「……嫌いとは、少し違うかと……」
「そっちもわけアリって感じだね。ややこしそうだし聞かないでおく」
話さなくてよくなり、私は内心ほっとした。
「そっちもって、翠の場合は普通にくーちゃんのことが嫌いなだけだろ。加宮ちゃんとは違う」
先生に指摘され、翠君はまた不服そうにした。
「もう、アイツの話はやめて。そろそろなんで僕がここに連れてこられたのか、知りたいんだけど?」
「お前、知らないで来たのか」