名前を呼んで、好きって言って

「でもまあ、そんなに不安に思わなくてもいいんじゃない?」
「どうして……?」
「だって。翔和はこの子から離れる気はないんでしょ?」
「もちろん!」


即答だった。


たしかに春木君がそばにいてくれたら安心するけど、それでは囲まれないということにはならないと思う。


「翔和がいれば僕もいるし、なにより柊斗がいる」


横目で柊斗さんを見ると、私の視線に気付き、柊斗さんは小さく首を縦に振った。


……え、待って。
その見た目でそんな可愛い動きをするの?
それはちょっと反則だと思うんですが?


「柊斗がいれば、人なんて集まらないよ」


なぜ言い切れるのか、とは思わなかった。


柊斗さんの無言の圧力は結構怖い。
いくらさっきのギャップにやられても、やっぱり怖い。


「心配しなくていいよ、秋保。何があっても、絶対俺が守るから」


この場合守ってくれるのは柊斗さんのほうでは?と思ったけど、言わない。
私は、春木君に守るって言ってもらえたことが、嬉しかった。


「だから秋保、一緒に行こう」


差し出された春木君の手に、私は手を伸ばした。
掴むより先に掴まれて、引っ張られる。


春木君は強引だし、こういうのは戸惑うけど、案外嫌いじゃないかもしれない。
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