名前を呼んで、好きって言って
「秋保、俺のこと嫌い?」
「ううん、嫌いじゃないよ」
「じゃあ好き?」
出た、極論。
この場合、友達として好きと言っても、春木君の中では恋愛感情になりそうだ。
下手に好きと言わないほうがいい気がする。
「やっぱ嫌い?」
「いや、そうじゃなくて……!」
ダメだ、いい答えが見つからない。
「漫才はその辺で終わりにしてくれる?」
困っていたら、翠君が呆れたように割り込んでくれた。
「あのな、翠。これは大事なことだから」
「でも今は、競技決めるほうが重要だから。みんな待ってる」
翠君に言われて周りを見ると、みんな私たちを見ていた。
柊斗さんがいるからか、誰も近寄っては来ないけど、私の答えを待っているのはたしかだ。
「ほら、何がやりたいか自分で言いなよ」
「えっと……」
翠君に促されるけど、私は答えられなかった。
みんなが待っているということは、みんな決まっているというわけで、私が入る場所なんてないように思えてくる。
「秋保ちゃん、好きなの選んでいいよ。人数制限とかないから」
さっき春木君を呼んだ子が、優しく教えてくれた。
「じゃあ……バスケで……」
「はーい」