名前を呼んで、好きって言って
昼休みになり、昼食を終えると、私は体育館に連れていかれた。
どうやら早速バスケの練習をするらしい。
春木君は体育館倉庫からバスケットボールを一つ取ってくると、ドリブルをしてそのままゴールに向けて投げた。
だけど、そのボールはリングに弾かれて落ちる。
「かっこわる」
翠君が盛大に笑った。
ボールは柊斗さんの足元に転がり、柊斗さんはそれを拾い上げる。
そして一歩も動かずに、ボールを投げた。
今度は綺麗な軌道を描いて、リングを通った。
ボールが吸い込まれるようだった。
思わず見とれてしまうくらい、綺麗だった。
「柊斗がかっこいいところを見せる時間じゃないぞ!」
春木君はそう言ってまた投げるけど、それも外れた。
「ねえ、翔和。バスケ、教えてもらえば?」
翠君はもう、ずっと笑っている。
なかなか上手くいかないのと、翠君に笑われるのとで、春木君は両頬に空気を含ませた。
それが可愛くて、私も笑ってしまう。
「ああもう、秋保にまで笑われた!」
「ごめん、だって、なんか可愛くて」
「可愛いのは秋保!」
……そんな話はしていない。
「ところでバスケやってたって言ってたけど、どれくらいできるの?」