名前を呼んで、好きって言って

それがどういうものなのかよくわからないけど、あれを好きオーラだと言うのなら、そういうことになるか。


「秋保ちゃん、迷惑なら迷惑って言ったほうがいいよ。はっきり言えば、翔和もわかるだろうし」
「でも……」


迷惑じゃないから、困っている。
もう少し抑えてほしいだけだと思うのは、私の勝手だろうか。


「もしかして秋保ちゃん、翔和のこと好きだったりする?」
「その……友達として……というか、恋愛感情っていうのがよくわかってなくて」
「それはわかる」


清花ちゃんが笑うと、つられて笑ってしまった。


それをきっかけに、私たちは打ち解けることができた。


「明日はバスケのメンバー連れてくるよ。みんないい奴だし、大人数でやったほうが楽しいでしょ」
「……うん!」


そして教室に戻ると、春木君は勢いよく私の前に来た。


「秋保、何もされてない? 平気? 大丈夫だった?」
「翔和は私が秋保ちゃんをいじめるとでも思ってんの」


後ろにいた清花ちゃんが、不満そうに言う。


「だって、清花は性格が雑だから」
「殴るよ」


二人のやり取りが面白くて笑っていたら、翠君の視線に気付いた。


「仲良くなれたみたいで」
「うん、ありがとう」


翠君は微笑んで返してくれた。


あれだけ怖かった教室が、いつの間にか楽しい空間へと変わっていた。
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