名前を呼んで、好きって言って

あまり長い時間キッチンにいると、美桜が準備できずに遅刻してしまうと思い、焼く工程をお母さんに任せて、私は部屋に戻った。


そのときお母さんに「いつまで姉妹喧嘩してるの?」って言われたけど、私も美桜みたいに苦笑することしかできなかった。


時間が解決してくれるような、してくれないような。
私たちに起きたことは、それなりにややこしいことだった。


完成したクッキーはタッパーに入れ、学校に持っていく。


もう、教室に行くことに抵抗はなかった。


「秋保ちゃん、おはよう」


教室に入ると、清花ちゃんはもう来ていた。


「おはよう」
「クッキー、作れた?」


清花ちゃんだけには作れるか怪しいって言っておいたから、清花ちゃんは小声で聞いてきた。


私は親指と人差し指で丸を作って答える。
清花ちゃんは安心したような笑顔を見せた。


「秋保ちゃんのクッキー、楽しみにしてるね」
「俺も秋保のクッキー食べたい!」


どこから現れたのか、春木君が会話に混ざってきた。


「今日は女子会だから、翔和はダメ」


清花ちゃんはわざと春木君を挑発するように、私を抱きしめて言った。


「ずるい! 俺も食べる!」


なんというか、春木君はあれ以上に子供っぽくなっていた。
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