名前を呼んで、好きって言って

まあ、言って納得してもらえるのだとしても、恥ずかしくて言えないけど。


これはもう、思い切って話題を変えてしまおう。


「そういえば、清花ちゃんは何を作ってきたんだっけ?」
「ん? 私は、サンドウィッチだよ」


清花ちゃんはそう言いながら、使い捨ての弁当箱を取り出した。
それは蓋が透明で、中身が見えた。


野菜が挟まっているのと、フルーツが挟まっているものがある。


それはとてもカラフルで、見ているだけでお腹が空いてくる。


「おいしそう……!」
「お昼の楽しみにしてて」


清花ちゃんはお弁当箱をカバンに戻した。


お昼にあれが待っていると思うと、これから頑張れそうだ。


「今日、優勝はできなくても、一勝くらいはしようね」
「うん!」


元気よく返事をすると、清花ちゃんが手のひらを下にして、右手を伸ばした。
何をするつもりなのだろうと思ったけど、私はすぐに同じように手を伸ばして、右手を重ねる。


「あ、私たちも入れてー」


すると、ちょうど登校してきたバスケメンバーが来て加わった。


六人で円陣を組む。


「一勝はするぞー、おー!」


清花ちゃんの掛け声に合わせて、私たちは手を挙げた。
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