名前を呼んで、好きって言って
それから軽くホームルームをやり、私たちは体育館に移動した。
「秋保、俺の活躍見ててね」
試合直前、春木君はわざわざ私のところに来て言った。
春木君たちのほうが先に試合をするらしい。
春木君はかなり気合が入っているみたいだけど、翠君も柊斗さんもまるでやる気がない。
欠伸までしている。
というか、春木君のあのシュート率を見ていたからか、春木君が活躍できるとは思えなかった。
でも、適当にあしらうことはできない。
「頑張ってね」
これを言うことしかできない。
それでも春木君は満足してくれるのだから、ありがたい。
春木君は翠君たちとコートに立つ。
「こうしてみると、本当月城の背って高いって言うか、存在感があるよね」
春木君がいなくなってから、清花ちゃんが隣に来た。
「月城と翠がそろってたら、それだけで勝てそうと思わない?」
「どうして翠君も?」
柊斗さんがいるだけで勝てるというのはわかるけど、翠君はわからなかった。
「あいつのあの有無を言わせない笑顔に逆らえる人はいないでしょ」
そう言えば、翠君にも怖い一面があったっけ。
最近は見ていなかったから、忘れていた。
「でも、二人ともやる気なさそうだけど……」