名前を呼んで、好きって言って

そのとき、チームメイトが私たちを呼びに来てくれた。


春木君たちの試合は、想像以上に楽しめた。
次は、私たちが頑張る番だ。


「頑張れ、春木君」


聞こえないってわかってるけど、そう呟いてその場を離れた。


私たちの初戦の相手は先輩で、なんだか怖かった。


「あちゃー……秋保ちゃんにはギャルはちょっと刺激が強かったかな?」


私が怯えていることに気付いたのか、清花ちゃんはこそっと言った。
他のみんなも私を見る。


「その……これって、勝っていいんだよね……? 怒られたりとか、しない……?」


怯えながら質問をすると、清花ちゃんたちは笑った。


「大丈夫、大丈夫。こんな得もないゲームに本気になるような人たちじゃないから」
「むしろ、爪が割れるとか言いそう」
「てか、一生懸命にやったら笑ってくるような人たちだよ」


それはなぜバスケを選んだのか、というやつだ。
一生懸命な人を笑うのも、理解できない。


「でもま、ぼろ負けさせて問題ないからさ。期待してるよ、秋保ちゃん」


そしてみんな私の背中を軽く叩いて整列をした。


私も頑張ろう。
みんなの期待に応えられるくらい、下手なりに楽しもう。
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