名前を呼んで、好きって言って
「そこは私たちの名前を呼んで、好きって言ってほしかったなあ」
二人は口を尖らせ、私から離れる。
「ご、ごめん……えっと、夏恋ちゃん、麗羅ちゃん」
二人の名前を呼ぶと、すぐに笑顔に戻ってくれた。
私を好きだと言ってくれるのも、私の一言で喜んでくれるのも、とても嬉しかった。
もう二度と、そういう人たちには出会えないと思っていたから、余計に嬉しい。
そう考えていたら、視界が滲んできた。
「秋保ちゃん!?」
「どうしたの!?」
急に私が泣き出したから、二人は慌てて駆け寄ってきた。
「大丈夫……もう私には友達なんてできないんだって思ってたから、なんか……嬉しくなっちゃって」
二人はほっとした表情で笑う。
「これくらいで泣かないでよ」
「そうそう。これからもっと楽しいこといっぱいあるんだから」
それを聞くと、今からわくわくしてしまう。
「あんたたち、こんなところで何してるの?」
後から来ていた清花ちゃんに追いつかれた。
「イチャイチャしてるの」
夏恋ちゃんは清花ちゃんに自慢するように私に抱きついて言った。
「よかったね。友達が増えて」
だけど清花ちゃんは気にしないで、優しく微笑んで私の頭を撫でた。