名前を呼んで、好きって言って
最後のは聞かなかったことにしよう。
それがいい。
「まあ、焦らずにゆっくり考えればいいよ」
清花ちゃんは私の頭を数回叩いた。
「……ありがとう、清花ちゃん」
「いいってことよ。いつでも話は聞くからね」
私はいい友達を持った。
高校に行くのも、教室に行くのも嫌だったけど、今日改めて、ここに来れてよかったと思った。
「また清花が秋保独占してる!」
いつの間にか元気を取り戻したらしく、春木君が不満を言った。
清花ちゃんは勝ち誇った顔をする。
「翔和、あんたは私に感謝するようになるよ」
「なにそれ、意味わかんない!」
さっきのは内緒話だったのではと思ったけど、細かいことは言っていないから、いいか。
でも、そのせいで春木君は余計に怒ってしまった。
そして二人はまた言い合いを始める。
そんな二人を見て、私は微笑ましく思った。
そうこうしているうちに、目的地であるファミレスに到着した。
私と座りたいと言う春木君を無視して、私は清花ちゃんと夏恋ちゃん、そして麗羅ちゃんとテーブルを囲む。
「清花、また翔和と秋保ちゃんの取り合いやってたね」
注文を終えると、夏恋ちゃんがそんなことを言った。