名前を呼んで、好きって言って
「だって、アイツに秋保ちゃんはあげられないから」
「わかるけど」
わかるんだ……
「秋保ちゃんは、どんな気持ちであのやり取り見てるの?」
「どんな、と言われても……」
楽しそうだなと思って、は違う。
嬉しいは、ちょっとずれてる気がする。
微笑ましい……は、楽しそうと一緒か。
「困ってるし」
麗羅ちゃんは私の反応を見て笑った。
いや、本当、今の質問は困る。
「でも、秋保ちゃんは翔和にヤキモチ妬かれるのは嫌じゃないんだもんね?」
「ちょ、清花ちゃん……!」
清花ちゃんはからかうように言ってくるし、二人はぽかんとしていたと思ったら、にやにやしてるし。
「おやおやおやー?」
「もしかして好きになっちゃった感じですかー?」
だ、ダメだ、逃げなきゃ。
「わ、私、飲み物取ってくる……!」
私は席を立ち、ドリンクバーのところに行った。
三人、本気で私をからかう気だ……
戻ったら質問攻めだろうなあ……
「……加宮」
何を飲むか決めて機械にコップを置いたら、名前を呼ばれた。
声がしたほうを見ると、最も会いたくなかった人が、そこに立っていた。
「加宮だよな。加宮秋保」
頷いて答えるけど、その動きは固かった。