名前を呼んで、好きって言って
翌日学校に行くと、すれ違う人たちみんなが、私のことを見てきた。
どうして注目されているのかわからないまま、私は教室に入った。
そこでも同じように見られ、みんなこそこそと話している。
「秋保!」
何が起きているのか理解できずにいたら、瑠衣が息を切らして私のクラスにやって来た。
「瑠衣、どうしたの?」
「いいから来て」
瑠衣に腕を引っ張られ、廊下の端に連れて行かれた。
「ねえ瑠衣、何が……」
「昨日の話、誰かに聞かれてたみたい」
瑠衣は私の言葉に被せて言った。
「え……昨日のって……」
「秋保の好きな人のこと」
あのとき瑠衣しかいないから話したのに、誰かいたなんて……
「秋保が美桜の彼氏を好きっていう噂が少しずつ間違って広まって……今、秋保が美桜の彼氏を奪おうとしているって言われてる」
「なに、それ……」
頭が追いつかなかった。
真実と異なりすぎていた。
そんな噂が広まれば、私は悪者だ。
なにより、私と美桜では周りからの信頼度が違う。
美桜をかばい、私を敵視する人が多くなるのも簡単に予想できる。
「ごめん、秋保。私が無理に聞いたりしたから……」