名前を呼んで、好きって言って

瑠衣の顔を見て気が緩んだのか、私は目に涙を溜めた。


「瑠衣……私……」


そこまで言って、周りの声が聞こえてきた。
いろいろ陰口を言われるようになった結果、周りの声に敏感になっていたのだ。


「瑠衣ちゃん、どうして話しかけれるのかな」
「もしかして略奪の応援してる、とか?」
「嘘、あの子も最低じゃん」


瑠衣に助けを求めようと伸ばした手は、行き場を失った。


私は視線を落とす。


「……ちょっといい?」


それは瑠衣にも聞こえていたみたいで、瑠衣は怒っていた。


「る、瑠衣、落ち着いて……」
「落ち着けるわけないでしょ。友達が傷付いてるのに。無視なんてできないから」


その言葉だけで、もう私は救われていた。


「……友達が自分の姉の彼氏奪おうとしてるの、止めたりしないんだね。そっちのほうがおかしいじゃん」


ある一人がそんなことを言った。


「あんたたち、秋保と同じクラスなのに、秋保の何を見てきたの。秋保はそんなことするような子じゃない」


泣きそうだった。
私がどれだけ負けそうになっても、瑠衣は立ち上がってくれる。
嬉しかった。


「……人は見かけによらないって言うし」


だけど、その子は瑠衣の言葉を聞こうとしなかった。
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