名前を呼んで、好きって言って

「とにかく。私たちは友達に戻るの。わかった?」


流星は頷いてくれない。
だけど、そっと手を離した。


「……俺より妹を選ぶんだ?」
「当たり前でしょ。大切な妹だもの」


比べるまでもない、とまで言ってしまうと、今度は流星を傷付けてしまうだろう。


「……わかった。もういい」


本当に納得しているかはわからなかったけど、流星は私の元から去っていった。


流星と過ごした時間は楽しかった。
でも、簡単に手放せてしまうということは、本気で好きだったわけじゃなかったのだろう。


告白されたのが嬉しくて、付き合った。
多分、そういうことだと思う。


「こんなことなら、付き合わなきゃよかった……」


後悔しても遅いとわかっていても、思わずにはいられなかった。





家に帰って、私は自分の部屋にこもっていた。


すると、ノックの音がした。


「秋保、いる?」


美桜だ。


どんな顔をして会えばいいのかわからなくて、私は返事をしなかった。


「……瑠衣に聞いたよ」


瑠衣……言わないでって言ったのに……


「秋保、アイツのこと好きだったんだね」


え、聞いたって、その話?
てっきり、噂の話かと……


いや、瑠衣は本当のことを知ってるから、わざわざ噂を言ったりはしないか。
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