名前を呼んで、好きって言って
「とにかく。私たちは友達に戻るの。わかった?」
流星は頷いてくれない。
だけど、そっと手を離した。
「……俺より妹を選ぶんだ?」
「当たり前でしょ。大切な妹だもの」
比べるまでもない、とまで言ってしまうと、今度は流星を傷付けてしまうだろう。
「……わかった。もういい」
本当に納得しているかはわからなかったけど、流星は私の元から去っていった。
流星と過ごした時間は楽しかった。
でも、簡単に手放せてしまうということは、本気で好きだったわけじゃなかったのだろう。
告白されたのが嬉しくて、付き合った。
多分、そういうことだと思う。
「こんなことなら、付き合わなきゃよかった……」
後悔しても遅いとわかっていても、思わずにはいられなかった。
◆
家に帰って、私は自分の部屋にこもっていた。
すると、ノックの音がした。
「秋保、いる?」
美桜だ。
どんな顔をして会えばいいのかわからなくて、私は返事をしなかった。
「……瑠衣に聞いたよ」
瑠衣……言わないでって言ったのに……
「秋保、アイツのこと好きだったんだね」
え、聞いたって、その話?
てっきり、噂の話かと……
いや、瑠衣は本当のことを知ってるから、わざわざ噂を言ったりはしないか。