名前を呼んで、好きって言って

この話題で翠君のストレートな言葉は、少しというか、かなり刺さる。


「君、姉と仲良くしたそうだったよね。仲直りしちゃえば？」
「それは、したいけど……」


そんな簡単な話ではない。


もう、どう切り出していいのかもわからない。
だからお互いに触れない。


……といっても、美桜のほうは寄り添ってくれているけど。
私が素直になれないだけ。


頭では理解している。


でもやっぱり、美桜本人を前にすると、何も言えなくなってしまうのだ。


「……ま、普通の仲直りとは違うみたいだし。難しいのはわかるけどね」


翠君は察しがよくて助かる。


「秋保ならできるよ！」


春木君は急に励ましてくれた。


私を信じきっている、その輝く目を見るだけで勇気がもらえるから、不思議だ。


「ちょっと翔和、適当なこと言うのは逆に傷付けることもあるからね。心にもないことをいうのはやめておきなよ」


……私が翠君のそれに傷付くとは思わないんですか、もう。


「できるって」


それでも春木君は自分の意見を曲げなかった。


「だって秋保、最初は俺と話すことも嫌だって言ってたんだよ。でも今はちゃんと俺と話せてるし、教室に来てるし、友達もできてる」