名前を呼んで、好きって言って
「ほら。保と和。似てない?」
似ていると言われればそんな気もしてくるけど、無理矢理な気もする。
「加宮ちゃん、そいつの思考を理解しようとするのはやめたほうがいいよ。直感で喋ってるようなバカだから」
助言をくれたのはありがたいけど、本当に春木君の扱いが酷いと思う。
そしてやっぱり、春木君はその扱いに何も言わない。
「こんな共通点があったなんて、嬉しいなあ」
春木君は先生の言葉は聞いていなかったらしく、プリントを眺めている。
名前が似ているだけでこんなに喜ぶなんて、まるで子供みたいだ。
「そういえば、秋保はなんで教室に来ないの?」
「え……」
話の流れがなくて、びっくりする。
本当に直感で喋っているんだ……
「えっと……」
素直に話したくないけど、いい言い訳が思い浮かばなくて、私は黙ってしまった。
「俺はね。秋保ともっといたいから教室に来てほしいけど、誰にも秋保のこと見られたくないとも思うんだよね」
この人は一体、何を言っているの……?
私が戸惑っていたら、春木君はなにか閃いたのか、京峰先生の前に行って机に手をついた。
「俺もここに来る!」
「ここはお前のようにバカで元気なやつが来るところじゃない」