名前を呼んで、好きって言って

「秋保。それはしゅうのことか？」


そう質問してくる紅羽さんの表情はなんだか怖かった。


「しゅうって、柊斗さんのことですか？」
「ああ。月城柊斗だ」
「違いますけど……」


どうしてそんな確認をしてくるのかわからないまま、質問に答える。


というか紅羽さん、柊斗さんのことを「しゅう」って呼んでるのか。
まあ翠君の双子の姉なわけだし、知り合いでもおかしくはないけど、なんというか、可愛らしいと思った。


「そうか……」


私の答えを聞いて、紅羽さんは安心した表情をした。


「もしかして……紅羽さん、柊斗さんのこと、好きなんですか？」


それは勘というやつだった。
なんとなく、そう思った。


すると、紅羽さんは少しだけ頬を赤らめて顔を背けた。


「何その反応！　ちょっと紅羽、詳しく聞かせてよ」


美桜が紅羽さんの体を揺らすけど、紅羽さんは口を開こうとしない。
相当照れているようだ。


「私の話はいい。秋保の話を聞いてやれ」
「紅羽のも気になるんだけど」
「私も聞きたいです」


あの柊斗さんのどこを好きになったのか、気になって仕方ない。


……いや、あれだけのギャップの持ち主だ。
紅羽さんはそこにやられたのかもしれない。