もうそばにいるのはやめました。






放課後になり、生徒玄関で靴を履き替えようとしたら。



「……あああっ」



靴箱のふたを開けると、手紙がなだれてしまった。


……またか。


靴箱の中にも手紙がぎっしり詰まってる。

ローファーが見えない。



エンディング効果は告白にとどまらず、こうやってラブレターやファンレターもたくさんもらうようになった。


げた箱に手紙って、フィクションの中でしか見たことなかったけど……。



「実際に入れられると手紙が汚れちゃうんだよね……」



地面に落下した手紙を一枚一枚拾いながらぼやく。



ああほら、きれいな封筒に砂がついちゃってる。


せっかく送ってくれた手紙なのに汚れちゃったらもったいない。



「それ全部ラブレター?」


「ぜ、全部じゃ……!」



全て拾い上げると、視界の隅に茶髪が留まった。



「た、武田くん!!」



真横からわたしの靴箱を覗き込む武田くんから、思わずあとずさる。


い、いつの間に……!?



「円も気が気じゃねぇわけだ」


「彩希、離れろ」


「へいへ~い」



武田くんのうしろには円もいた。


……あ。

円、右でカバン持ってる。


腕はもう大丈夫なのかな。


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