もうそばにいるのはやめました。
涙はとうに乾いていた。
「ハルくん、わたしになにか用だったの?」
「あ、そうだった!」
ハルくんの眼差しが凛々しくなる。
「姫!」
「なに?」
「僕を姫のそばにいさせてください!」
思考回路がうまく働かない。
ええと……どういう意味?
「必要な物も持ってきたっす!24時間姫を守れるっすよ!」
「に、24時間!?」
「また今までみたいに姫に仕え……」
「ちょっ、待って!!」
ハルくん、ストップ!
その大荷物に、24時間守る宣言……。
もしかして。
「……ハルくん、家は?」
「あ、安心してください!しばらく帰らないってメール送っといたんで!」
安心できないよ!!
それってつまり家出じゃないの!?
「ね、寝泊まりは……」
「もちろん姫のところで!ベットとか布団はいらないっすよ。寝袋持ってますから。いや、姫を守るためなら寝なくても……!」
そこは寝て!?成長期でしょ!
……ってそうじゃなくって!
やっぱり家出だった!
しかも一方的に家族に連絡を入れただけの!
ハルくんの忠誠心がさらに強まってる……。
一難去らずにまた一難。
雨が降っただけでなく、台風も来ちゃったみたいです。