もうそばにいるのはやめました。
料理猛特訓をした以降も冷たくされた。
それと同じくらい世話を焼いてくれた。
『学校にはどうやって行くの?』
『徒歩』
『え!?誰かが送迎してくれるんじゃないの!?』
『これだから金持ちは……』
学校への行き方も。
『わたしもお金を稼いで、お父さんとお母さんの力になりたい!』
『あっそ。勝手に頑張れば?』
『お金ってどうやって稼げばいいの?体を売ればいい!?』
『……世間知らずにもほどがあるだろ』
アルバイトについても。
『ふんふんふー……っ!?電気が消えた!超常現象!?』
『ちげぇよ。お前が電気使いすぎてんだよ』
庶民の生活も。
『ま、ま、円くん!!これなに!?』
『は?なに』
『これだよこれ!このほっぺにできた赤い点みたいな……!も、もしかしたら病気かも……』
『ただのニキビだろ』
『え!?これがうわさのニキビ!?』
『……できたことねぇの?』
『お肌のケアは執事に任せてたから』
『お前の執事はなんでもできんのな』
『ふふっ、でしょ?』
『お前がいばるな』
ちょっとした変化も。
面倒くさがりながらもちゃんと教えてくれた。
苦手意識はあっという間になくなった。
『ネクタイ結べないし、髪もまとまらない……!』
『それくらい覚えろ!』
学校規定のネクタイ、くせっ毛の赤茶色のセミロングには今も悪戦苦闘する。
中学はリボンだったし
髪の毛は執事が綺麗なストレートにしてくれていたから。