もうそばにいるのはやめました。


それでもハルくんは


『ぼくにきみをまもらせて?』


幼いころの約束を守ろうとしてくれるの?



「ネクタイも結びますか?」


「あっ、ううん!これはわたしがやる!」



お肌と髪のケアをしてくれただけで十分頼りすぎなのに、ネクタイまで頼ったらだめな気がする。なんとなく。


これじゃあわたしの世話を焼く人が円からハルくんに変わっただけだもん。



自分がやらなくちゃ。

すでにいろいろ頼っちゃってるけど。



「で!……き、た?」


「姫……じ、上手っす!」



な、ななめになってる……。

ハルくんのフォローが沁みる。


まあ形はわたしにしてはいいほうだし、上出来上出来!


ポジティブにいこう!



ななめのネクタイを力技で真っ直ぐに正した。これでよし。



「じゃあ学校行ってくるね」


「僕がしっかり学校までお送りしますのでご安心ください!」



朝食をとってるお父さんとお母さんにそう言うと、ハルくんが元気よく敬礼をした。


え!?わたし初耳なんだけど!



「ははっ、それは安心だ。晴澄くんも気をつけるんだよ」


「いってらっしゃい」



微笑み合うお父さんとお母さんに「いってきます」と告げて家を出た。


……ハルくんと一緒に。

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