もうそばにいるのはやめました。
もう!なにか言ってよ。
ハルくんどうしちゃったの?
怒ってる?
腕をつかむ力が強くなった。
……絶対怒ってるでしょ。
「待って!!」
わたしの腕をつかんでるハルくんの手をにらんでいたら、今度は正面から制止がかかる。
ハルくんがブレーキをかけた拍子に、ハルくんの背中に鼻をぶつけた。
「いたた……」
ハルくんの背中越しに前方をうかがってみれば、走って先回りした先輩が先をふさいでいた。
「きみが誰か知らないけど、俺は竜宝さんに話があるんだ。その手離してくれない?」
ハルくんの手が離れる気配はない。
な、なにこの一触即発しそうな雰囲気は……!
ハルくんと先輩、さつばつとしてない!?
「は、ハルくん、手を……」
「嫌っす」
離れるどころか力む一方。
ちょっと痛い。
「なにごと?」
「修羅場?」
「あの子、エンディングの子じゃん」
「やば。イケメン」
ついでに野次馬の視線も痛い……!!
「ねぇ、ハルくん!」
「僕が、」
やっとハルくんの手がゆるんだ。
腕を握っていた手が下がっていく。
手のひらと手のひらが重なり、指と指の間にハルくんの太い指が交わった。