もうそばにいるのはやめました。






……今日は一段と疲れたなぁ。




うわさで盛り上がるクラスの女の子に事情聴取され、クラスの男の子には冷やかされた。


穂乃花ちゃんとのおしゃべりでも円の話題が多かった。



『相松くんって顔はいいよね、顔は』

『ああいうタイプって付き合ったら苦労しそうだよね』



円のことをほめたりお付き合いのこと話したり……やっぱり穂乃花ちゃんも円のこと好きなのかな?



武田くんには


『あいつのことよろしくな』


って言われちゃったし。



その『あいつ』は隙あらば声をかけようとしてきた。



『寧音』

『ああっ、わ、わたし用事が……!』


『なあ』

『な、ナツくんに借りた物が……!』



ふたりで話す時間を作りたくなくて必死に避けてた。


なんとか放課後まで頑張れたけど、明日もこんな感じなのかな。



「わたし、体力持たないかも……」



肩を落としながら生徒玄関で靴を履き替える。


今日も靴箱にはたくさんの手紙が入っていた。

ひとつ残らずきちんとカバンにしまう。



わたしもラブレターを書いてみたら、気持ちにけじめをつけられるのだろうか。



「寧音!」


「!?」



ローファーを履くと、背後から円が接近してきた。


反射的に逃げる。

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