もうそばにいるのはやめました。
灰色の空の下、校舎を抜けて校門まで一直線に突き進んでいく。
ぎゃああ!追いかけてくるよおお!!
来ないでええ!!
「っ、逃げるなよ!」
しまった!捕まった!
右手を握る円の左手が、熱い。
「やだ……離してっ」
「離さない」
「なんで……」
「俺の話、最後まで聞いてほしいんだ」
恋人のフリのことでしょ?
いい。聞きたくない。
傷つきたくないんだよ。
「俺は、」
「姫になにしてるんすか!!」
校門前から現れたハルくんが、わたしの手から円の手を引きはがした。
「どうしてハルくんがここに……?」
「姫のことを待ってたんす」
朝に送ってくれただけじゃなくて迎えも!?
ハルくん過保護すぎ!
「……あんた、今朝の……」
ハルくんは対峙する円を敵視する。
そういえば円とハルくんって相性悪かったんだっけ。
それにこの状況……危険な気がする。
「あんた、姫のこと彼女だってほざいてたっすよね」
「……それがなんだ」
「それが本当でもウソでもどっちでもいいっすけど……これだけは言えます。あんたに姫は守れないっす」
「守れるさ」
「姫にこんな顔させてるあんたには守れないっすよ」