もうそばにいるのはやめました。


灰色の空の下、校舎を抜けて校門まで一直線に突き進んでいく。


ぎゃああ!追いかけてくるよおお!!

来ないでええ!!



「っ、逃げるなよ!」



しまった!捕まった!


右手を握る円の左手が、熱い。




「やだ……離してっ」


「離さない」


「なんで……」


「俺の話、最後まで聞いてほしいんだ」




恋人のフリのことでしょ?

いい。聞きたくない。


傷つきたくないんだよ。



「俺は、」


「姫になにしてるんすか!!」



校門前から現れたハルくんが、わたしの手から円の手を引きはがした。



「どうしてハルくんがここに……?」


「姫のことを待ってたんす」



朝に送ってくれただけじゃなくて迎えも!?

ハルくん過保護すぎ!



「……あんた、今朝の……」



ハルくんは対峙する円を敵視する。



そういえば円とハルくんって相性悪かったんだっけ。


それにこの状況……危険な気がする。




「あんた、姫のこと彼女だってほざいてたっすよね」


「……それがなんだ」


「それが本当でもウソでもどっちでもいいっすけど……これだけは言えます。あんたに姫は守れないっす」


「守れるさ」


「姫にこんな顔させてるあんたには守れないっすよ」



< 122 / 191 >

この作品をシェア

pagetop